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ポテチ

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主人公の職業は空き巣、彼女との出会いは空き巣に入った部屋で聞いた留守電がきっかけという奇妙な状況で話は進んでいきます。その表現はドタバタした動きは全くなく会話も淡々としています。カメラ目線もありません。というか避けているようです。よく言えば穏やか、悪く言えばつかみどころがありません。しかし、悪い印象にならないのはひとつひとつの会話が思いもよらない内容でおもしろいからです。ゆるい会話だからと言って聞き流してはなりません。何気ない会話の中に物語の本質が散りばめられています。さりげない表情で核心をついてきます。

 タイトルとなっている「ポテチ」(蛇足ですがポテチとはポテトチップスの略です。)の2種の味を取り違えた時の主人公今村(濱田岳)の流す涙の訳は映画が終わらないとわからないかもしれないし、終わってもすぐにはわからない人もいるかもしれません。すぐにわからない人は「おもしろかったね。」程度の感想しか持たないでしょう。私自身、「そうだったのか!」と気づいたのは寝る前に思い返していた時です。その後、しばらくの間その感動が私の心にずっと残っていました。思い出すたびに心がほんわかとするのです。

 暴力やハダカや3Dじゃないとマスコミはあまり騒ぎませんが、「ポテチ」のようにゆるいけれども見た人の魂を豊かにするような作品こそ映画の奥深さを表していると言えます。

 また、この作品は3・11の東日本大震災がきっかけとなり、急きょ映画化が具体的に進んだそうです。このところ地方を活気づける「ご当地映画」が増えていますが、仙台という震災の被害地で撮影されたということは、映画そのものの評価に直接関係はありませんが、被害者を励ますということで「ポテチ」という映画が社会に果たした功績は評価できるのではないでしょうか。

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